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#07 石垣島と石垣の塩のおいしい関係

人と自然にやさしく

石垣の塩をつくる豊かな森

森の神秘

名蔵湾の海水の豊かさが、

塩にうまみを吹き込んで

いると言われている。

しかし豊かな海を作っているのは、

豊かな森だとも言われている。

里海は里山が作る。

里海が肥えるためには、

里山が肥えている必要がある。

味わい深い塩が

生まれるための自然環境とは。

それを追っていくと、

答えは名蔵湾周辺の

緑の森にまでたどり着く

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​名蔵湾を生き物たちの楽園にする

​ノーラフカーラ(名蔵大川)の道筋

沖縄で一番高い

山は海の守り神

名蔵川は、標高526mの於茂登岳南麓から湾へとつながる、全長4.5kmの川。雲が山に雨を降らす→山が水を含んだスポンジとなって地表から水を湧かせる→それが寄り集まって最後ノーラフーカーラ(名蔵大川)となり、海に流れ込む。そう、川は、山の恵みを海まで運んでくれるベルトコンベアというわけ。

2005年には国際自然保護区(ラムサール条約)に決定。
冬には野鳥が北から飛来してきてアンパルでゆっくりと静養し、湿地にはマングローブ林・海域にはサンゴ礁の群落と自然環境は他では類のない陸と海が一体となった美しい場所です。方言で“稚魚が集まる場所”の意味を持つ名蔵湾は、

地元の人々が晩ごはんのおかずを取りにくるほど、

豊かな海。「生き物の命が詰まった海水、それがうま味の秘密です」

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多種多様な動植物が

確認されている湿地帯

​名蔵アンパル

石垣島の西側、名蔵湾から川の河口付近に名蔵アンパル(砂州で囲まれた干潟)が広がり、川は山へとつながっている。

生き物の宝庫”と言われる名蔵アンパルは、マングローブ林が広がる原野中心の湿地帯。亜熱帯気候特有の動植物がたくさん分布しており、2005年にはラムサール条約にも登録された。
その一帯に足を踏み入れると、足下の土が底から、ぐいっと持ち上がった。
びっくりしてよく目を凝らすと……いるわいるわ、無数に転がった小さな貝にたくさんのシオマネキ。それらが一斉に歩き出し、あたかも地面がぐらついているかのように見える。
マングローブの森に近付くと、コメツキガニが揃って穴に滑り込み、のんびり屋のトビハゼだけが、きょとんとした顔でこちらを見ている。
それに加え、耳に入るのは、サキシマヌマガエルの声や水鳥のさえずり。
アンパルに溢れかえる生き物たちの躍動が、なんとも愛おしく思える。

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ビッグリーフ

マングローブは塩水で生き抜くことができる森林。よく見ると、緑の葉の中にたまに、黄色の葉が混じっていた。「実はこの黄色の葉っぱが塩分を吸収しているんだ。いずれ落ちてしまうんだけど、この葉が犠牲になって仲間の緑葉を生かしているんだ」


大自然の知恵。

命をつないでいこうとする力強さを感じます。

海水で生きる

マングローブの知恵。

島の不思議

八重山諸島の不思議

一属一種  ヤエヤマヤシ

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八重山諸島の森の中にはところどころ

ヤエヤマヤシの原生林がある。もちろん石垣の塩 工房も上を見上げれば、まさにそこだけ熱帯雨林。南国の空気を存分に味わうことができる場所なのだが、このヤシ、実はとても謎に満ちている。なぜかといえば、自然に群生しているのは、世界広しといえども、沖縄諸島のみ。他に近縁種がないヤシは非常に珍しく、それがなぜなのか、いまだもって解明されていない。
 

およそ20mもの高さのヤシが4~500本。
その立ち姿はとても繊細で美しく、国の天然記念物にも指定されている。

圧巻の高さと存在感

群生地に入ると、ちょっぴりひんやりした空気に頬を撫でられた。
白色の幹がどこまでも天を貫き、空高くそびえ立つヤエヤマヤシ。20mほどのヤシの高さのはるか向こうに、ちっちゃくなった青空が申し訳なさそうにのぞいている。
そして、森を吹き抜けていく風には、土の香りと木の葉ずれが入り交じり、ここが南の島の特別なジャングルであることを、強烈に五感に訴えてくる。
チッチッ。キィーッ。
木々の間にするどい鳥の声がこだますと、ヤシたちはざわざわと意味ありげに喋りだし、こちらは天辺から巨大な葉が落ちてきてケガでもするんじゃないかとひやひやしながら、慎重に足を一歩ずつ進めていく。

直径50cmはあろうかという幹には、赤みがかった気根がまるでスカートのように厚く巻きついている。幹は数万本の上部な繊維の束でできており、とても強靭なので、かつては建築材としても利用されていた。
幹の表面に横についた線の数からは、年輪を知ることができる。

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海だけではない、

森だって塩の味を作っている

おいしい塩が生まれるためには、まず海が元気でなければならない。そして海が元気でいるためには、恵みの出発地となっている山の緑が、生き生きしている必要がある。少なくとも、ジャングルに生息するギランイヌビワの立派な板根を見れば、森は森で、どれだけ力強い呼吸をしているかがわかる。石垣島には豊かな海と豊かな森、その両方が揃っている。海の森、いや、森の海、海も森も、その両方が断ち切れない関係の中で、豊かさや安心・安全という鍵がある。

もし、海水を原料とした塩に、森の情景までを想像することができると…!また一つ、塩の奥行きを知ることがでるかも。

プルメリアの花
熱帯の花

亜熱帯の木々の根本にシダのような植物。「ヤエヤマオオタニワタリ」島では新芽の部分を摘んで、天ぷらや炒め物にして食べたりしてます。塩で味わうと格別です。

石垣の塩をつかさどる名蔵湾(アンパル)は。八重山諸島のなかでも独特の自然の生態環境が残っており現在、国・県・石垣島の島人(シマンチュ)が自然環境保全に動く貴重場所となっています。

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