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人と自然においしく

八重山諸島と石垣の塩の

おいしい関係

 それ以上に  ヒトに何ができる?

材料は ‟豊かな森と海”

石垣の塩づくり

島の方言で

“稚魚が集まる場所”の

“意味を持つ名蔵湾。

おかずを取りにくるほど、豊かな海。

地元の人々が晩ごはんの

「僕らが大切にしているのは、

できるだけ自然の歩調に合わせること」

少しだけ手を差し伸べるという方法。​

言い換えれば、あるがままの自然に

「生き物の命が詰まった名蔵の海水、

それが塩作りの原点です」

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八重山諸島の自然が作ってくれてるんです」

「僕らが作ってるんじゃない、

僕ら職人は遠く海を眺めながら!

自信をもって言い切ります。

大自然に優しく手をそろえるように職人の知恵によって生まれてくる『塩』。

サンゴ礁

サンゴ礁を見れば、海が元気かどうかすぐわかる。

『石垣の塩』のパッケージを飾るサンゴの

写真が、取水地点の海の健康を物語っている。

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​まずは、

名蔵湾から海水を取る

​石垣の塩を作る

伝統的な昔のやり方は、そのまま受け継がせてもらい、現代の技術は、自然に負荷を与えない範囲でうまく活用。今と昔の見事なドッキングが、『石垣の塩』の作り方​。

経済産業省・特許庁のものづくり大賞も取ったお墨付き!環境にはかなり配慮してます。

工房裏手の浜は、無邪気に遊ぶヤドカリ

に目もチラホラ。太陽のしずむ、西の方向

に向かって細いパイプが敷かれてます。

パイプはところどころで『く』の字になって、はるか沖合へと向かって海に沈んでいる石垣の塩作りに欠かせない取水パイプ。海水をくみ上げる場所は名蔵湾。遠浅の海で藻場類・サンゴ礁と生態系が多彩です。

 

海中にたくさんのサンゴがいますから、まずは彼らを邪魔しないように、居場所を避けて取水パイプをひいてます。

台風の後はいつもパイプが取れちゃいますが

その度に、みんなでゼロから手作業で“やり直し”です。

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​一日目釜で海水を煮詰める

塩の製法には、『天日塩』や『釜炊き』などの方法がある。 天日塩は、塩田などを使って太陽光で水分を蒸発させていく方法。それに対して、釜炊きは釜で煮詰めて塩を結晶化させていく。

石垣の塩づくりと言っても色々あるが今回は地釜炊き方式を紹介します。まず、沖合1.5km地点から取水された海水は、藻などの不純物が濾過されて、タンクにいったん貯蔵される。それを今度は小さなポリタンクに移し、担当のオジィが直径1mはありそうな巨大な釜に注ぎ込んでいく。ほぼ8分目まで一杯になったところで、蓋をして着火。ここからが気の長い作業の始まりです。

「たかが塩、されど塩。

    煮詰めるのに3日かかります。

技術革新が進み、大量生産が可能な現代。 大型機械でも使っているのかと思いきや……。「大きな釜で、気長にことことと煮るところから始めます」さらにそれを天日で乾かす場合、夏で三日、冬だと一ヶ月かかることもざらです。

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「塩だって、島時間と一緒に、

呼吸しているわけさァ~」

​二日目さらにゆっくり煮詰める

二日目!....ずっしりと重い釜の蓋をあけ、中の状態を確認する。「……そろそろ、表面にほんの少し、白い結晶ができてくる頃です。」ゆっくりじっくり煮詰める釜の横、オジィが「これが、塩の“卵みたいな”状態だよ」時間が止まってしまったかのように、またぴたっと蓋を閉める.....

頬を撫でる島風と共に二日目は時間がゆっくり過ぎていきます。

日本で一番大きな蝶。オオゴマダラが、

さわさわと緑の中を飛んでいく。

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​三日め

何度も。丁寧に。

「さあて」。蓋を開けると、むわっとほのかに甘味を帯びた蒸気が、あたり一面に広がった。「お。できてる、できてる!」オジィが釜の中をかき混ぜると、美しい結晶がたくさん、網にかかる。「これが、塩の“できたて”だよ」指にとって舐めさせてもらうと、“これ自体がおかずになりそう”な味が、ぱあっと口の中に広がった。しゃりしゃり。しゃりしゃり。オジィは、ひたすら塩をすくい続ける。

こちらの目では全く気付かない不純物も、『石垣の塩』の職人さん達は、手作業で丁寧に見つけて取り除く。工房長(声)「結局ね、どれだけ機械化に挑戦してみても、やっぱり最後頼りになるのは人の手なんです。海水に、僅かに混じる海藻類を、機械は選別できないどころか、それが原因で壊れちゃうんですから(笑)」。結局。いろいろ試した末に辿り着くのはシンプルな道です。

オジィは天日に干して乾いた塩を、お客様の要望に合わせ木槌を使って少しずつ、丁寧に砕いたりもします。

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​さらに特別な塩へ。

通常は平釜を三段に重ねた“多段式蒸発皿”で海水を蒸して塩の結晶を抽出、若干の湿り気を帯びた低温乾燥塩を商品としている。それが『石垣の塩』で最もポピュラーな商品なのだが、そこからさらに手をかけてできる塩もある。それが一段上級の“焼き塩”。焼釜で炒ること数時間、粉のようにさらさらの塩ができあがる。和食にすっと馴染むと評される塩です。

釜で、ある程度水分を蒸発→結晶化させた後、夏場には70℃以上にもなるビニールハウスの中で、じっくり天日に晒されてできあがる塩がこれ。太陽が頼りなだけに、日差しの強い夏場は数日でできあがるが、曇天が続く冬は一ヶ月以上かかることもあるという。完成まで職人さんが手間ひまかけてじっくり付き合う特別な塩だけに、一度食べたらやめられなくなるファンも多い。低温乾燥塩とはにがりの抜け方が異なる分、味にも違いがある。

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自然に忠実に作ろうよ

海水って、無駄になるところがないんだ」「じゃ、塩を取った後の海水は?」「それはにがり。お豆腐の凝固剤や害虫駆除などにも使われている。海の栄養分がたっぷり入ってる分、同じ容積でも水よりにがりの方が重いんだ。ほら」手渡されたペットボトルを持ってみたら、ずしっ。わあ、不思議! 釜をのぞかせてもらうと、まだにがりと塩に分離する前に海水が、やっとぐつぐつと音を立て始めたところだった。

「自然って、僕らがどんな風に形を変えても、結局元の形に戻ろうとする。台風襲来の後に、みんなで取水パイプを直しに行って見ると、そのパイプにタコやウツボが住もうとしてるんです。それをまたゼロから直すってのは、こっちにとっては大変。でもそれって海の状態としては健全ともいえると思いませんか? 海中の生物がわんさといて、テーブルサンゴが青年のように元気な状態の海の水を、僕らは使わせて頂いているわけですね。その生命力溢れる海の水から、人工的な物を何一つ加えずにできた塩。これは海からの贈り物です」

 

僕らは今日も青空の下一筋の飛行機雲が、浜の緑の中に、静かに微笑んだまま、石垣の塩づくりを人と自然にやさしい塩を作り続けます。

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